樹木希林について思う

最近、樹木希林が亡くなった。

ぼくは別に彼女の熱心なファン、というわけでは全然なく

彼女の出演しているドラマを熱心に見た、という経験もない。

ただ、トーク番組に出ている彼女を見ていると

とても自然な力の抜けた雰囲気の人で

当たり前の何でもないようなことのように

病気のことを淡々と話しているのが印象に残っている。

ぼくは元気なふりをしたり

意味なくし楽しそうにしているのが嫌いで

できれば一生愛想笑いをしないで生きていければいいと

思っていたりする。

なので、いつもウチにいるときのような

眠そうな雰囲気の

樹木希林をみていると

安心したし、

こういうやり方で生きていければいいなと

思ったりもした。

ああいう人が死ぬ、というのは

悲しいというより

ああいう人も死ぬんだなと

なんというか不思議な感じがする。

 樹木希林のいわばやる気のないような

雰囲気は

人間のありのままの素の状態という感じがする

べつに楽しそうでもなく

つらそうでもなく

ありのままにそこにいる。

あたりまえのことだけれど

毎日がすごく楽しい

なんてことは基本的には

ありえないことだし

どんな刺激的なことだって慣れて、飽きる。

べつにそれは悲しいことでもないし

駄目なことでもないはずだ

樹木希林のあの力の入っていない自然な態度を

見ていると

退屈な日々もそんな風に受け入れることができるような

気がした。

彼女のように

泰然としながら

しぶとく生きていければいい

なんてことを思う。